ない!

最近、薬局で困っていることがあります。
以前も触れましたが薬そのものではなく「薬を入れる容器」が入りにくいこと。
シロップを入れる瓶。 軟膏を詰める容器。 粉薬を分ける袋。 さらに、チャック付きビニール袋。
薬局には、薬そのもの以外にも、なくなると急に困るものがたくさんあります。
「ない!」
そんなことが、本当に起こります。
もちろん、まったく何もできないわけではありません。 別のサイズの容器を使ったり、在庫のあるものに変更したり、発注先を確認したり。 薬局の中では、見えないところで小さな調整が続いています。
以前は、患者さんにとって使いやすい容器を選んで発注していました。
開け閉めしやすいか。 ラベルが貼りやすいか。 持って帰るときに漏れにくいか。 高齢の方でも扱いやすいか。
そういうことを考えて、「うちではこの容器が使いやすいね」と選んでいたのです。
でも今は、メーカーや形を選べないことがあります。 いつもの容器が入らない。 次に入る予定もはっきりしない。 では、いま注文できるものはどれか。
そんなふうに、選ぶというより「入ってくるものをなんとか確保する」発注になっています。
患者さんにとって使いやすいものを選びたい。 でも、まず容器そのものが手に入らなければ薬を渡せない。
その間で、少しもどかしい気持ちになります。
でも、容器はただの「入れ物」ではありません。
量が見やすいこと。 こぼれにくいこと。 持ち帰りやすいこと。 名前や用法のラベルが貼れること。
患者さんが家で困らないために、容器にもちゃんと役割があります。
軟膏容器ひとつでも、メーカーが変わると少しずつ違います。 蓋の色が変わる。 蓋のかみ合わせが違う。 同じように閉めたつもりでも、いつもの容器より少し漏れやすい気がする。
そうなると、こちらもいつも以上に気をつけます。 ちゃんと閉まっているか。 患者さんが持ち帰る間にゆるまないか。 薬袋の中で傾いたときに大丈夫か。
水剤瓶も同じです。 容器の大きさや蓋の形が変わると、手に持った感じも変わります。 容器そのものの重さも違うので、量って入れるときの感覚が少しずれます。
「いつもの瓶なら、この感じ」 という手の感覚が、別の容器になるだけで少し頼りなくなる。 ほんの小さな差なのですが、毎日何本も調剤していると、その小さな差がなかなか困ります。
それから、シロップをお渡しするときのチャック付きビニール袋。
今までは、瓶をそのチャック付き袋に入れてお渡ししていました。 万が一少し漏れても、薬袋やかばんの中が汚れにくいように。 持ち帰るときに少しでも安心できるように。
でも、そのチャック付きの袋も入荷しなくなりました。
そうなると、瓶のままお渡しするしかなくなります。 もちろん蓋はしっかり確認します。 でも、いつもならもう一枚袋に入れていたものを、そのまま渡す。
「すみません、今日はこのままのお渡しでお願いします」
と言いながら、少し申し訳ない気持ちになります。 皆さんにナフサ不足で入荷しない為とお伝えすると快く承諾していただけるのでありがたいです。
薬が患者さんの生活に届くまでには、容器や袋やラベルみたいな、地味なものたちが間に入っています。 普段は誰も気にしない。足りなくなって初めて、存在感が出る。 そういうものが、薬局にはたくさんあります。
今日も、容器の残りを数えてため息が漏れてしまう。本来の仕事にもっと注力したいのだけれど・・・。
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